6月ーそらまめ【天豆】

そら豆は、季節の訪れを感じさせてくれる人気の豆です。そら豆には「蚕豆」と「空豆」という二つの漢字表記があります。「蚕豆」はさやの形が蚕に似ていることや、さやを開くと豆が絹のようなふかふかの中で眠っているように見えることに由来します。一方の「空豆」は、若いさやが空に向かって伸びる様子から名付けられました。

そら豆は生育とともに実が大きくなり、やがてさやが垂れ下がって地面とほぼ平行になります。この頃が収穫の目安であり、昔の人々が植物の姿をよく観察し、その特徴を名前に反映させていたことがうかがえます。

現在では北海道から鹿児島まで全国各地で栽培されていますが、最もおいしい旬は春から初夏にかけて。関東では三社祭の頃が食べ頃といわれています。出始めのそら豆は鮮やかな緑色とみずみずしい風味が魅力ですが、時期が進むにつれて実が充実し、ほくほくとした粉質の食感へと変化していきます。

調理法はシンプルな塩茹でが定番ですが、実がしっかり詰まってきた頃には、皮ごと煮る「鎧煮」などもおすすめです。旬のそら豆は、豊かな風味と食感を楽しめるだけでなく、お酒のお供としても格別のおいしさです。

6月のお稽古では「蚕豆の鎧煮」を作ります。

著者

近茶流宗家 柳原料理教室 主宰
博士(醸造学)

東京・赤坂の柳原料理教室で、日本料理、茶懐石の研究指導にあたっている。

NHK大河ドラマなどのテレビ番組の料理監修、時代考証も数々手がける。 2015年文化庁文化交流使、2018年農林水産省日本食普及の親善大使に任命され、世界へ日本料理を広める活動を行う。

ライフワークは江戸時代の食文化の研究と日本料理・日本文化の継承、そして子ども向けの和食料理本の執筆・講義を通した子どもへの食育。

近茶流 柳原料理教室ホームページ
https://www.yanagihara.co.jp