4月ーさくらえび【桜えび】

桜えびは美しい色と豊かな香りが特徴の春の味覚です。

その美味しさは、加工の工程によってさらに引き出されます。まず、漁のあとにさっと茹でる「釜揚げ」。これによって余分なものが取り除かれ、すっきりとした味わいになります。そして、その後に行われるのが天日干し。太陽の光をたっぷり浴びた桜えびは、鮮やかな赤色へと変わり、旨みもぎゅっと凝縮されます。大井川などの河川敷に広がる干し場は、まるで「赤い絨毯」のよう。この光景は、静岡の春の風物詩としても知られています。

今年は順調な漁が続いているようですが、近年は漁獲量が安定しない年もありました。その原因のひとつとされているのが、海水温の変化です。水温の影響で成長や産卵の時期がずれ、漁に出られない時期もあり、手に入りにくくなることもありました。

丸ごと食べられるのも桜えびの魅力のひとつです。火を通すことで、ふわっと広がる香りが一層引き立ちます。たとえば「新玉ねぎと桜えびのかき揚げ」はサクサクの食感とともに、香ばしさが口いっぱいに広がります。「竹の子と桜えびの煮物」は旬のものを合わせた料理で、桜えびの旨みがじんわりと感じられます。

著者

近茶流宗家 柳原料理教室 主宰
博士(醸造学)

東京・赤坂の柳原料理教室で、日本料理、茶懐石の研究指導にあたっている。

NHK大河ドラマなどのテレビ番組の料理監修、時代考証も数々手がける。 2015年文化庁文化交流使、2018年農林水産省日本食普及の親善大使に任命され、世界へ日本料理を広める活動を行う。

ライフワークは江戸時代の食文化の研究と日本料理・日本文化の継承、そして子ども向けの和食料理本の執筆・講義を通した子どもへの食育。

近茶流 柳原料理教室ホームページ
https://www.yanagihara.co.jp