きゅうりはとても歴史の古い野菜です。遣唐使によって日本へ伝わったといわれています。しかし、意外なことに、私たちが今のように日常的に食べるようになったのは江戸時代の後期から明治時代にかけてのこと。それまでは、あまり人気のある野菜ではありませんでした。
江戸時代の本草学者・貝原益軒も、きゅうりについて「あまり美味しいものではない」と記しています。当時は、現在のように青く若い実ではなく、熟して黄色くなったものを食べることが多かったそうです。そのため、「黄色い瓜」と書いて「黄瓜(きうり)」と呼ばれるようになり、それが現在の「きゅうり」という名前の由来になったといわれています。
漢字では「胡瓜」と書きますが、この「胡」という字には、中国やシルクロードの向こうから伝わってきたもの、という意味があります。きゅうりも遠い国から日本へ渡ってきた野菜なのです。
きゅうりはそのままで食べるだけでなく、さまざまな料理に活用できます。おすすめの一つが「緑酢(みどりず)」や「翡翠酢(ひすいず)」です。きゅうりをすりおろし、甘酢と合わせて作る爽やかな合わせ酢で、アジやカレイなど、淡泊な魚との相性が抜群です。鮮やかな緑色も美しく、夏らしい一品に仕上がります。
また、きゅうりは炒め物にも使えます。しかし、火の入れ加減がポイント。火を通しすぎず、シャキシャキとした食感が少し残る程度に仕上げます。豚肉や牛肉と一緒に炒め、醤油やみりんでさっと味付けすれば、ご飯によく合うおかずになります。
きゅうりは成長がとても早い野菜で、収穫が遅れると、あっという間にジャンボ胡瓜に育ってしまいます。日本では直径2〜3cmほどですが、海外では5〜6cmほどある大きなきゅうりが一般的。それでも、みずみずしさや食感を楽しむなら、日本で一般的に流通している大きさのものが一番美味しいように思います。
さらに、きゅうりの赤ちゃんともいえる「花丸きゅうり」をご存じでしょうか。黄色い花がついたままの小さなきゅうりの雌花で、料理店では刺身のつまや季節のあしらいとして使われることがあります。小さくても季節感を演出してくれる、日本料理ならではの美しい食材です。
普段何気なく食べているきゅうり。ぜひ、生だけでなく、すりおろしたり炒めたりと、いつもとは少し違った味わい方も試してみてください。

