小さいころ、栗拾いをしたことを今でも覚えています。
あのときの栗は山栗だったのでしょうか。小さく、いがに包まれ、手で触ると痛いので、靴でいがを広げながら拾ったものです。
大人になってから、丹波の栗山を歩いた際にも収穫を手伝ったことがあります。そのとき聞いた話では、栗は一種類だけでは実をつけず、二種類以上の異なる品種を植える必要があるらしい。その組み合わせには「相性」があり、例えば、早生種と晩生種をうまく組み合わせて色々試すそうです。
栗の食べ方で私がいちばん好きなのは、手軽に楽しめる栗ご飯です。
栗をむいて、小さなさいの目に切り、研いだ米と一緒に炊くだけ。炊くときにみりんを大さじ1ほど加えると、栗の甘みがいっそう引きちます。黒ごま塩をふっていただくその一膳を口にするたびに、丹波の栗山の風景をよみがえらせてくれる秋の滋味です。

