9月ーまつたけ【松茸】

松茸は日本を代表する秋の味覚であり、独特の香りが特徴です。その香りは日本人には良い香りとして感じられますが、香りの好みは国によって異なるため、外国の方では松茸の香りを好まない人がいると聞きます。

現時点では、松茸はすべて天然です。赤松の根に菌糸を広げて繁殖させます。研究室レベルでは栽培に成功しているものの、実用化はされていないことから、天然の松茸の価値が下がりません。しかし近年は、赤松の病気や高温などによって、少なくなりつつあります。

松茸を楽しむための代表的な料理が松茸の土瓶蒸しです。鰹節と昆布の出汁、エビ、銀杏、三つ葉などと生の松茸を土瓶に入れて直火にかけることで、松茸の香りを汁に閉じ込めます。もとは山で仕事する人たちが水筒代わりに土瓶を持ち歩き、現地で採れたキノコを酒とともに土瓶入れて直火で温めたのが始まりとされています。

9月の料理教室のお稽古では松茸の土瓶蒸しを作ります。ぜひ一年に一度は楽しんでもらいたい、この季節ならではの味わいです。

著者

近茶流宗家 柳原料理教室 主宰
博士(醸造学)

東京・赤坂の柳原料理教室で、日本料理、茶懐石の研究指導にあたっている。

NHK大河ドラマなどのテレビ番組の料理監修、時代考証も数々手がける。 2015年文化庁文化交流使、2018年農林水産省日本食普及の親善大使に任命され、世界へ日本料理を広める活動を行う。

ライフワークは江戸時代の食文化の研究と日本料理・日本文化の継承、そして子ども向けの和食料理本の執筆・講義を通した子どもへの食育。

近茶流 柳原料理教室ホームページ
https://www.yanagihara.co.jp