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5月ーかつお【鰹】

日本料理において鰹は特別な存在であり、その歴史は日本書紀にまで遡ります。鰹のなますは日本の文献に登場する最初の料理として記録されています。鰹は日本の生食文化を語る上でとても重要な魚です。

鰹はおもに太平洋側に生息し、インドネシア付近で誕生した後、春頃に黒潮に乗って日本近海まで北上します。

江戸時代には、相模湾・鎌倉沖で獲れる初鰹が江戸で特に重宝されました。3月〜4月に初鰹が獲れ、10月頃には現在で言う「戻り鰹」は秋鰹として、すでに食されていた記録があります。

食べ方の変遷も興味深く、江戸初期から中期(1700年代頃まで)は酢や大根の絞り汁、唐辛子酢などで食されていました。江戸後期になると、からしと醤油での食べ方が一般的になっていきました。

5月のお稽古では、鰹のみぞれたたきを作ります。鰹を火で炙り、その上に大根おろしと薬味をまぶして食べる料理です。1年目のお稽古では、柵に切ってある身を使って料理をしますが、2年目のお稽古からは、鰹のおろし方も学びます。

著者

近茶流宗家 柳原料理教室 主宰
博士(醸造学)

東京・赤坂の柳原料理教室で、日本料理、茶懐石の研究指導にあたっている。

NHK大河ドラマなどのテレビ番組の料理監修、時代考証も数々手がける。 2015年文化庁文化交流使、2018年農林水産省日本食普及の親善大使に任命され、世界へ日本料理を広める活動を行う。

ライフワークは江戸時代の食文化の研究と日本料理・日本文化の継承、そして子ども向けの和食料理本の執筆・講義を通した子どもへの食育。