木の芽は山椒の新芽で、春を代表する香りの一つです。春から初夏にかけて、お椀や煮物などに飾る「吸い口」として主に使います。柑橘の皮のような爽やかな香りの中に、ピリッとしたスパイシーさがあります。
山椒の芽には、「地芽」といわれる、木の芽よりも一回り大きい露地栽培のものもあります。これは、木の芽のように飾り物として使うより、擦って木の味噌にしたり、ご飯の中に散らすためのものとして使い分けます。また、春のほんの一時期には山椒の花(雄花)も出回ります。香りが強く、貴重性もあることから、焼き物などに添えられます。
春から初夏は木の芽、秋から冬にかけては柚子、というように、日本料理の中でこの二つの食材は季節を感じさせる大切な香辛料です。
4月のお教室でのお稽古では、若竹煮、竹の子を炊き込んだとりめしなど、春の食材を楽しむ献立を作ります。竹の子には欠かせない木の芽をふんだんに使います。若竹煮の上には、ふんわりと木の芽を飾り、竹の子のとりめしには、刻んだ地芽を散らします。