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4月ーきのめ【木の芽】

木の芽は山椒の新芽で、春を代表する香りの一つです。春から初夏にかけて、お椀や煮物などに飾る「吸い口」として主に使います。柑橘の皮のような爽やかな香りの中に、ピリッとしたスパイシーさがあります。

山椒の芽には、「地芽」といわれる、木の芽よりも一回り大きい露地栽培のものもあります。これは、木の芽のように飾り物として使うより、擦って木の味噌にしたり、ご飯の中に散らすためのものとして使い分けます。また、春のほんの一時期には山椒の花(雄花)も出回ります。香りが強く、貴重性もあることから、焼き物などに添えられます。

春から初夏は木の芽、秋から冬にかけては柚子、というように、日本料理の中でこの二つの食材は季節を感じさせる大切な香辛料です。

4月のお教室でのお稽古では、若竹煮、竹の子を炊き込んだとりめしなど、春の食材を楽しむ献立を作ります。竹の子には欠かせない木の芽をふんだんに使います。若竹煮の上には、ふんわりと木の芽を飾り、竹の子のとりめしには、刻んだ地芽を散らします。

著者

近茶流宗家 柳原料理教室 主宰
博士(醸造学)

東京・赤坂の柳原料理教室で、日本料理、茶懐石の研究指導にあたっている。

NHK大河ドラマなどのテレビ番組の料理監修、時代考証も数々手がける。 2015年文化庁文化交流使、2018年農林水産省日本食普及の親善大使に任命され、世界へ日本料理を広める活動を行う。

ライフワークは江戸時代の食文化の研究と日本料理・日本文化の継承、そして子ども向けの和食料理本の執筆・講義を通した子どもへの食育。